書評
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「古代史写
真紀行 天日槍と渡来人の足跡」 チョチヒュン著 「古事記」「日本書紀」で古代朝鮮からの渡来人として登場する天日槍(あめのひぼこ)の足跡をたどる写 真集「古代史写真紀行 天日槍と渡来人の足跡」を、大阪の在日コリアンのカメラマン、チョチヒュンさんが出版した。今も各地に残る史跡を訪ね、日本と朝鮮の奥深い関係を見つめ直す力作だ。 天日槍とは妻を追って古代日本に渡来した新羅の王子とされ、九州北部から瀬戸内海を経て近畿周辺に至り、兵庫県の但馬地方に居を定めたと伝えられる。優れた技術と文化を持った渡来人集団の神格化された象徴とみられ、それをまつる出石神社をはじめ、各地に神社や史跡が残る。 チョさんは五年をかけそのルートをたどり、同神社などを撮影した約百枚のカラー写 真と、故事を説明する文章で写真集を編集。「日本の風景に色濃く残る古代朝鮮の面 影を、取材の過程でリアルに実感した」と語る。 チョさんは一九三八年に韓国・済州島で生まれ、十歳で日本へ渡った在日一世。当初の十年を過ごした"在日の街"大阪・猪飼野は、古くは「日本書紀」に名が登場する渡来人の集落だった。チョさんはこの街の風景を撮った「猪飼野」や、被差別 部落に暮らす人々の表情を取材した「部落」などの写真集で知られる。 「日本の歴史の裏側には常に、ある集団や民族への差別がる。だが、東大寺の大仏が渡来人の手によるのは明らかなように、彼らは日本の文化に大きな役割を果 たした。日本の中の朝鮮の存在を、渡来人の歴史に確かめたいと考えた」 猪飼野という地名は、約三十年前に町名変更で消滅した。だが近くには、天日槍が後を追った妻をまつったとも伝えられる比売許曾神社もある。「地名とは物を伴わない遺跡。地名の抹消は、いわば歴史の抹殺だ。だが土地には、消すことのできない記憶がある」 写真集には古代史研究の上田正昭氏が「渡来の人びとの文化を、あざやかによみがえさせる」と記した序文を寄せた。 チョさんは「今の『在日』も、近代百年ばかりでなく、古代から続く渡来人の歴史に位 置付けられることを、若い世代に伝えたい」と話している。 |